お金で苦労した経験がないなら、それは幸せな人生だと思っていた時期があります。でも、何人かのお金持ちと親しくなって、彼らを観察していると思うほど幸せではありませんでした。

お金のあるなしで、幸福度は決まらないといわれますが、そこにも感情的要素があります。ですから、感情コントロールが大きく関わってくるはず。無一文でも感情コントロールの上手下手が大きく関わってくるようです。

実際、経済的余裕がなくても幸福でありえます。女の子は現金を持っていないのにまったく動じる様子を見せませんでした。すごくメンタルが強いのかと思ったのですが、そうではありませんでした。

彼女は前払い形式のカードを持っていて、一生懸命に何が買えるかを幸せそうに説明してくれたのです。幸せかと聞くと大きくうなずきました。現代日本での話です。彼女はお金がなくても幸せを感じていたのです。

幸福追求のために「感情」を無視できません。美味しいご飯を食べると喜びを感じ、それから幸せな気持ちに浸れます。怒りを感じているのに幸せを同時に感じられません。小難しい言葉を使うならア・プリオリ」な感情が幸せに関わっています。

感情は幸福に大きく関係しています。幸せだと感じている時に、怒りの感情を表せず、怒っている時に幸せを感じることはできません。幸福感はアンガーマネジメントに役立ちそうですね。

怒りが多いと健康を害して、仕事に差し障るのは誰でも経験しているのではありませんか?職場の怒りも家庭内の怒りも同じ怒りです。感情を維持していると、対象を選ばず同じ感情を抱くようになります。

不安を感じる所でデートすると恋愛感情を育てるのに役立つといいます。しかし、それ以前に好意を抱かせる必要があります。相でなければ、恋愛感情ではなく不安を感じる対象にまとめられてしまうでしょう。

心の中で大きな場所を占めている感情は、すべての感情を同じ感情にしようとする傾向を持ちます。怒りを感じていると、あらゆるものが腹立たしいと感じるようになります。結果として怒りを溜め込むと幸福感を喪失します。

強調すべき事実は、幸せは感じるものだということですね。その意味では幸福もまた感情の領域にあります。その鍵の一つは満足感にあります。満足感は幸福感を生みます。そして満足感はお金では買えないものです。

満足感をお金で買おうとすると、心理学的に「過剰補償」といわれる、現象を発現します。1回では満足できず、さらに大きな刺激を求めるようになります。一般に、過剰補償を求めるのは、欲求不満を生じていると言い替えられます。

一方、「金持ち喧嘩せず」という言い方は彼らがアンガーマネジメントに長けているように思わせますが、決してそうではありません。「金持ち怒らず」ではありません。知り合いに金持ちはいますが彼らは怒りを感じて表します。

そのような金持ち的な存在を考えれば、感情と幸福の関係でわかることもあります。まず私たちはお金持ちを敬遠しがちです。普通はお金持ちを友達にするよりは、お金そのものを友達にしたいと思う者ですよね。金持ちが怒ると周囲を見下す本音が出てくるからです。

彼らが周囲を見下せるのは、自分の周りに人がいないからで、彼らは実は強い孤独感の中にいるのです。孤独は幸せの対極にあります。幸せは社会的感情の一つですから、大きい経済的余裕は怒りと同じように人を遠ざけ、幸せを消費してしまう結果になります。

その友人を助けている限りは友達でいられます。しかしお金で助けるのでは、他人を信頼できないので所属欲求が満たされない結果になります。人から信頼されているのはお金だ、という不信感が消えないのです。