アンガーマネジメントは、むやみに周囲の怒りを買わない役に立ちます。怒っている人を避けるというのは有害な判断です。自分が怒りの対象なら、無責任でしょうし、近くの人が怒りの対象なら、薄情な人として理解されるかも知れません。

周囲の怒りから物理的に逃げられない通勤電車の中というケースを含めて、怒りから逃げるのは良い方法とはいえません。むしろ、怒りを吹き出す直前で、察知して対処する能力と知恵が必要です。それは周囲の人たちの助けになり、また自分自身をより高めることに貢献するに違いありません。

ストレス状況にある人には注意を払って余計な関わりを避けるのが基本です。冠婚葬祭はストレスの場です。人々の感情がさまざまに交差して留まる場だからです。そのようなストレス状況では期待される行為だけが受け入れられるという環境を作っています。

ストレス状況を弁えたコミュニケーションが求められているのを理解して余計な行為・言動を避けるのが基本になっています。その他のストレス状況でも同様です。職場であれ、家庭であれ、時と場合によってはストレス状況を避けることができないからです。

対人関係を破壊してしまう怒りを扱うアンガーマネジメントは感情マネジメントを含んだ対人リスクマネージメントです。対人関係を危機に追いやるのは怒りばかりではないからです。不安、恐れ、悲しみはもちろん喜びでさえ場合によって対人関係を破壊するからです。

さまざまな感情の中で怒りはむしろ扱いといえます。それは明らかであって誰にでも観察できるからです。具体的に誰かに怒られるとアンガーマネジメントのポイントが観察できます。そのような機会を上手く利用するのもアンガーマネジメントの学習機会です。

中には野放図に怒る人がいます。何に怒っているのかすぐには理解できないかもしれません。八つ当たりになってしまうことが多いからです。これは感情コントロールが稚拙な人に見られる状態です。コントロールできないとどのように周囲に映るかを考えるよい例になります。

そして怒りを隠してしまう人もいます。突然怒りを爆発させる人は大体、このタイプ人です。恐らく怒りに限らず感情の表現ができていないはずです。その場で怒りを表現せずに、内部に沈殿させて爆発力を蓄えるので、表出した怒りは極めて扱いにくくなります。

時々ですが、上手に怒りを表現する人もいます。この人に出会うと幸せすら感じます。いつも微笑んでいる人が、怒りを表現した時に出会うと、怒りの表現が大小によって表現されるダイナミクスなのだと改めて知らされます。

逆に誰かを上手に怒らせられるなら、アンガーマネジメントもできるはずともいえます。なんでも自分の思い通りでないとだめという人は怒らせやすいです。少し意地悪な扱いをすれば、確実に怒りを表現してくれます。

そのような人は精神の柔軟性が足りないのかも知れません。そうでない人は違う道を見つける名人なのです。進路に人が立ちはだかっても、すんなり道を替えます。目標が達成できれば、それでオーケーな人になりたいですね。

誰かを怒らせるなら、ストレス状況でフラストレーションを与えるのがポイントです。時間がなくて急いでいる時の、余計な仕事の依頼だったり、突然停車して動かなくなった通勤電車や効果が期待できない行為の繰り返しは見ている人をいらだたせます。

そのような時にくどい言い回しを下品に繰り返すと怒りが生まれます。いくつもの作業を同時にさせてフラストレーションを与えるのも可能です。同時進行の作業は大きなストレスになります。その作業の内の何かに問題があるとフラストレーションを生じさせるのです。