アンガーマネジメントに関する情報がネット上に溢れてきました。どれも役立ちそうですし、みんな苦労しているなあと感じます。なかなか簡単にいきそうにないのは、よく分かるのです。

何かを注意したり、忠告したり、指導したりするだけのつもりなのに、怒りっぽいなどとレッテルを貼られ、挙げ句の果てにはもっと忍耐強くならないとだめよなんて、逆に説教を食らう始末。

気が短いというのは人格的に何かが故障でもしているのかしら、と随分長く内省していた期間があります。その時に気がついたことがあって、その後は内省に代わって、じっくりと観察するようになりました。

それは出世する人は気が短いという事実です。出世が社会的に正しいとはいいませんが、孔子様ですら、気が短いと評された話も伝わっています。逆に気が長くて出世したという人を思いつくのが難しいくらいです。

皆さんの職場で、すぐに怒鳴る、そんな人が上役に多い気がしませんか?上役になるような人は、たとえ怒りを表に出さなくても、人事考課で必ず怒りの評価を加えている気がします。成熟した人格で知られた大学教授が家で奥さんに怒鳴っているのも目撃しました。

ただし人望を得て出世するような人は剥き出しで怒っていても、その後の扱いが巧みです。まず次の瞬間まで感情を持ち越さない。その様子はまるで子供のそれです。次の瞬間には笑っているほど、切り替えが早い。

さらに感情を野放しにしない。身体を震わせるほどの怒りをそのまま表現しません。抑制的で静かであろうと努力しているのが、伝わってきます。怒りの感情を制御している姿なのでしょう。

そして感情を分離するのにも巧みさがうかがえます。怒りの感情を切り離したように、淡々と目の前の問題に向かいます。これらの様子を見るにつけ、練られた人格を感じて、信頼できる人だと思えます。

アンガーマネジメントの目標を見誤らないで!間違った目標を立ててしまうと当然、間違った方向に進んでしまい、早かれ遅かれ破綻してしまうでしょう。ここでも目標はとても大切ですね。

怒りをコントロールするアンガーマネジメントです。怒りを消滅させるのではなく、怒りに鈍感になることでもありません。ですから、心理学的暴露法のように、怒りの感情に対して慣れてしまうのを目標にしてはいけません。

怒りを言語化していようが、無意識であろうが、最悪、怒りで知能指数は30%低下するそうです。無意識に怒りを感じていても、精神的、肉体的な影響に変化はありません。むしろ感じていないのであれば、よりやっかいだといえるかもしれません。

怒り、悲しみなどバランスを失った感情は睡眠障害の原因の一つにもなります。睡眠障害によってさらにストレス耐性は低下するでしょうし、いずれ明確な身体症状が生じます。これらは怒りに限らず、感情のバランスが崩れているなら同じです。

怒りにまかせるのが危険行為です。溜め込めば身体を蝕むだけでありません。逆に怒りはたやすく対人関係を破壊するでしょう。怒りは外に向かう感情なので、さまざまな外的影響を及ぼします。

逆に怒らないのも危険行為です。感情を表現できないと、周囲も気づきませんし、歓迎していると誤解されかねません。不愉快な影響に対して同意するなら、自分の権利を損ないます。

人間は感情コントロールが上手な人を信頼する傾向があるのは一般的に知られています。これはもちろん、すぐに怒る人は信用できないというのは分かりやすいと思います。

それ以外にもすぐに泣く人とはつきあうのが大変ですし、喜びが極端な人はうるさいと思われがちです。あるいは楽しむのが下手な人と付き合うのは高度過ぎるといえるでしょう。